基幹人体(きかんじんたい、英: Core Humanoid)とは、生物学的および機械的な要素を組み合わせた構造を持つ、人工的に作られた生命体である。一般的に汎用な人型を志向して作られるが、標準入出力を拡張した特化型も存在する。
基幹人体の開発は、人口減少という社会問題に対する一つの解決策として始まった。AIや人体クローン技術の発展が期待されていたが、前者は未発展かつ人類の後継として不適当であり、後者には法的な問題からその実現が困難だった。よって、クローン人間に対する法的制約を回避するための抜け穴として、人工生命体である基幹人体の開発が進められた。基幹人体は、人間の外見や機能を模倣しつつも、人間由来ではない独自の遺伝子情報をもつため、法的には「人間ではない」存在として開発された。一般にこの時期は「クローン化社会」と呼ばれるが、基幹人体が人類のクローンではない点には注意が必要である。
初期の基幹人体は単なる機械的存在に過ぎなかったが、人工知能による予期せぬ刺激によって、最初の自我を持つ基幹人体たる霍禺P01が誕生した。その個体の解析によって現代で運用される人類と同等の自己認識や感情、さらには思考能力を持つ基幹人体が確立された。
人口減少が深刻化し、主権者不在の危機が懸念される中、基幹人体の重要性が増した。廣部第二首都で開催された廣部人権会議では、機械知性体とともに基幹人体の社会的権利が正式に承認され、現生人類と同等の人権が公に認められた。この結果、基幹人体は現在の政治的・経済的な影響力を確立した。